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【コラム】学びを促す教え方・第3回Actively-involved ランニングアカデミー
Bring Upランニングパフォーマンスアカデミーコーチの古川です。
コラム【学びを促す教え方】シリーズ第3回は、「Actively-involved:主体的参加を促す働きかけ」についてです。
①誰かにやれって言われたからやっている
②興味があるから、やりがいを感じるから取り組んでいる
どちらの方がより高い成果に繋がるでしょうか?
②と考える人が多いのではないかと思います。
スポーツの現場では、選手の練習に対する姿勢が「主体的」であることが、練習の成果を高める重要な要素とされています。
では、どのような状態が「主体的」な取り組みといえるでしょうか?
ここでは練習に対して、
- 高い関心や興味を持っている(楽しい、やりたいなど)
- 必要性、やりがいを感じ、目標をもって自分の意志で取り組んでいる
ことを言葉の意味として話を進めたいと思います。
なぜ主体的だと成果に違いが出るのか?
一つの要素として、人が行動を起こすための動機づけ(モチベーション)が関係しています。
動機づけは、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2つに分けることができます。
外発的動機づけとは、
例えば、誰かにやれって言われたから、頑張ればご褒美がもらえるから、結果を出して他者から評価を得るためなど、行動を自分の意志ではなく誰かに強制されていたり、行動の先にある報酬のためにアクションを起こしている状態とされています。
一方、内発的動機づけとは、
楽しいからやらずにはいられない、必要性、やりがいがあるからなど、行動そのものから得られる楽しさや充実感、やりがいのために取り組んでいる状態です。
一般的に内発的動機づけで取り組む行動の方が、得られる成果が高いといわれています。
理由の1つは、行動に対する意欲の持続性です。
外発的動機づけは、目的が達成された時点で行動への意欲が低下する傾向にあります。
テストがないと勉強しなくなるのが一つの例ですね。
一方で、内発的動機づけは行動そのものに楽しさ、やりがいを得られるため意欲の持続性は高いといわれます。
乗り物好きの子どもが夢中になって乗り物図鑑を読み、いつの間にか大人も知らない知識を得ている。そんな状況を思い浮かべると理解しやすいかなと思います。
持続性が高ければ、より多くの努力を注げることになり、得られる成果が高くなる…
まさに「好きこそ物の上手なれ」の言葉通りです。
この理論を冒頭の質問に当てはめると、
①誰かにやれって言われたからやっている=外発的動機
②興味があるから、やりがいを感じるから取り組んでいる=内発的動機
ということになります。
スポーツを指導する場面では、指導者にどんな工夫ができるでしょうか?
Bring Upランニングパフォーマンスアカデミーでは、
- 各練習メニューの目的と目標を示す
- 遊びの要素を取り入れる
ことを大切にしています。
「この練習ってなんのためにやるの?」「ポイントは?」
意外と相手が理解していないまま練習を続けてしまうことは多いです。
実施する練習に対して、指導者には意図があっても、その考えが相手に伝わっていなければ、自分なりに目標を持つことも、自分の意志で取り組むことも難しくなってしまいます。そもそも何のためにやるか目的が分からなければ、必要性も感じられないですよね。
また、黙々と走り続けるような練習では子どもたちは退屈に感じてしまいます。
楽しいと思えるような遊び要素を取り入れたり、「もっとやりたい」と思えるような成功体験を味わえるメニュー作りを心がけています。
次回は、「Reflection(振り返り)」についてです。
【参考】
Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2017). Self-determination theory: Basic psychological needs in motivation, development, and wellness. Guilford Publications.
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コラム【学びを促す教え方】シリーズは、
「LEARNS」という考え方を基に紹介させていただいています。
LEARNSとは、次の6つのキーワードの頭文字をとって「LEARNS」です。
・Learner-Centred(学習者主体)
・Environment(環境)
・Actively Involved(主体的参加)
・Reflection(振り返り)
・New Learning(新たな学び)
・Stretch(ストレッチする)
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